光の射す方へ

 

受けてしまった被害の記憶と闘いながら生きていると、

どうして生きているのかわからなくなってくる。

犯罪被害のために崩壊させられた「自尊心」を取り戻したくて、

私は闘って生きている。

だけど、私が選んだ「生きる」という闘いは、

想像をはるかに超えるほどに過酷なものだ。

犯罪被害による心の傷

 

◆心理支配◆

私は性的な被害を受けている時、

よく被害に見られる「心理支配」を受けていた。

「心理支配」という言葉をみると、

宗教団体なんかが行う「洗脳」「マインドコントロール」を連想する方も多いかも知れない。

私も被害に遭うまではそんな風に思っていたし、

その「心理支配」は自分の意思でもあるのではないかと思っていた。

だけど、被害にあって、その「心理支配」というものが、

人間の命を奪うほどに恐ろしいものである事を知った。

今、私はその支配下にはいないが、

「支配」されていた時の事が、記憶となって脳の中に残り、

何か被害と関係するものを感じたりした時に、

私の思考力、行動が狂ってしまう。

私をとても大切に思って、心配して、

こまめに連絡をくれる人がいたとしても、

その人が事件と何か関係した言動をすると、

その人そのものを私の脳が拒否してしまう。

「この人は味方なのだ。」とわかっていても、

その人がする事を「攻撃」としか捉えられなくなる。

日常生活でも、買い物に行く事もできなくなる。

以前も記事の中でかいたのであるが、

私の触ったものは汚いとか、私には何かを触る価値もないと

強烈に思ってしまうのだ。

そうなってくると、食べる事さえできなくなる。

お料理なんて絶対に出来なくなってくるのだ。

こんな感じで自分を「生きる」事からどんどん遠ざけて、

「死にたい」という思考が私を支配する。

こうして「心理支配」というものは、

永遠に誰かの人生を苦しみに縛り付け、

「生きる」よりも「死ぬ」事の方が楽だという思考回路を作り、

人生を支配し続ける恐ろしい行為なのである。

◆解離性健忘◆

震災や戦争、もしくは死ぬほど苦しい事を経験すると、

トラウマとなったその記憶が原因で、

日常生活でも記憶が抜け落ちてしまう状態を

このように分類するらしい。

私ももれなくそうだ。

これまでも書いてきたが、

被害の記憶を闘って生きていると、

通常と言われる生活を送るのにも相当疲れる。

法的な助けを求める場合、

その状況を支援してもらう窓口で説明しなければならないので、

被害の事をいつまでも覚えている必要がある。

普通に生きるとするならば、

時にその犯罪被害の記憶を

無理にでも忘れなくてはいけない事がある。

そんな生活を送っていると、

ある時から、

記憶の一部が完全に消し去られていることがある。

朝起きて、携帯やパソコン画面、リビングなどをみても、

昨日の事が全く思い出せない時間が出てきた。

大切な人、家族との会話も全く思い出せない時がある。

たくさんの人の助けをかりて、

「生きよう」という思いを何とかして創っても、

その記憶を思い出すと、その日までに創った思いも破壊する。

それでもなお生きようと思って努力しても、

一度、脳に記憶された犯罪被害の記憶は消える事がなく、

「生きる」努力をすればするほど、

頑張れば頑張るほど、フラッシュバックの力が大きくなる。

そして、自分が作った料理を捨ててしまったり、

創ったものを壊し、その壊した感情すら忘れてしまう。

私が生きた証拠を残す

その繰り返しに疲れると、

私は必ず自傷をする。

自傷する事でその汚い血を体外に出している感じがしたり、

痛みを背負う事で「支配」された自分に罰を与えている気がするのだ。

だけど、もちろんその傷は痛い。

自傷の傷が深くて、手が動かなくなるほど痛いのだけど、

最近、少しだけその痛みを感じる気持ちが変わってきた。

きっと、私を見守り大切に思っている人は、

私の自傷の傷をみたら、この痛みぐらいに心を痛ませる。

そう思ったら、苦しみと闘っても生きなくちゃと、

私の脳が何もかも忘れてしまう前に

大切な人達へ私の気持ちを残したいと思う様になりました。

私にとって命より大切なもの

 

今の日本の環境だと、この記事を書く事が裁判の結果に

悪い影響をもたらすかも知れないけど、

いくら裁判で勝利を勝ち得ても、

私を必死で支える人達に「どうもありがとう」がいえないならば、

私の人生では「勝利」ではないのだ。

大切な人達との優しい思い出まで忘れてしまう事は、

「死ぬ」事よりも苦しく、みじめな事だ。

でもまさにその気持ちこそが、

私が取り戻したかった「自尊心」なのではないだろうか。

犯罪は無くならないかも知れない。

だけど、被害者がたとえ一瞬でも、

人間としての尊厳を取り戻せる世界が、

いつか来る事を心から願って、

私はこうして記事を書きました。

 

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